著者:リチャード・パーキンス
撮影日:2025年03月30日
住所:〒860-0077 熊本県熊本市
中央区内坪井町4−22
入場料:大人・高校生 200円|
小・中学生 100円|未就学児 無料
夏目漱石は、日本の有数の作家の1人です。明治時代(1868〜1912年)を生きた作家で、「こころ」や「吾輩は猫である」など、数々の有名な作品を出しました。東京都出身で、イギリスに留学するほか、日本国内で転々と生活をしていました。有名な「坊っちゃん」という本は、愛媛県に在住した時の経験を題材にした物です。そのため、夏目漱石といえば、愛媛県を連想する日本人が多いようです。しかし、関東と四国だけでなく、九州にも在住していました。イギリスに留学する直前の明治29年(1896年)〜明治33年(1900年)熊本県に滞在しました。4年3カ月の短い期間でしたが、6回も引っ越しました。5番目に在住していた家が残っていて、「夏目漱石内坪井旧居」という名で資料館として一般公開されています。
熊本県に在住していた頃、夏目漱石が最も長く在住していたのはこの家です。約1年8カ月この家にいました。創建年代が不詳のようですが、日本全国で在住していた家の中で当時の場所にそのまま残っていて、資料館として公開されているのはここだけです。夏目漱石の長女が生まれた家として知られています。明治時代の風情がある家で、武家屋敷だと思わせる畳が広がる部屋が殆どでありながらも、洋風の部屋が1つだけあります。日本と海外が調和した現在では中々見られない、広く、美しい構造です。
熊本県にいた頃、夏目漱石は作家としての活動をまだ始めていませんでした。しかし、「草枕」や「二百十日」という本は2冊とも熊本県を舞台にしています。熊本県で資料集めなどをしたようで、公開されているこの家は、小説に大きな影響を与えた可能性があります。
この資料館では、夏目漱石が書いた本の初版が何冊か置かれたり、夏目漱石が描かれている千円札も展示されたりしています。千円札は、昭和59年(1984年)〜平成19年(2007年)4月2日までに発行された札です。現在は滅多に目にしない貴重なお金です。
夏目漱石内坪井旧居に日本庭園があります。縁側から眺められ、家と同様に広く、立派な物です。目が奪われるほど奇麗で、様々な植物や木が植わっていて、都会のせわしさを忘れさせるとても静寂な環境です。現代の日本では、自宅で日本庭園を作る人が激減したので、ここの日本庭園は貴重な物と言えます。
夏目漱石の本は、どれも日本人に大きな影響を与えている内容の素晴らしいものばかりです。上記の通り、現在は夏目漱石が滞在した家に触れることができるのは日本全国でここだけです。そして、このような伝統的な日本の家屋が減少しているため、近くに見られるのは特別な経験でもあります。熊本県へ遊びに来る時は、是非夏目漱石内坪井旧居を訪ねてみて下さい。
明治時代に出版された初期の短編小説集である「鶉籠(うずらかご)」の初版です。
夏目漱石の顔が描かれている千円札です。
夏目漱石内坪井旧居にある唯一の洋室です。
その日本庭園です。