徳島県はかつて「阿波国(あわのくに)」と呼ばれていました。一言で説明すると、とても奇麗な所です。自然と日本の伝統文化がとても良い具合に相俟って、ゆっくりとした時の流れを感じつつ日本の様々な物に触れられます。決して栄えていて、大勢の人が在住しているわけではありませんが、田舎だと思わせない活気がここにあります。
徳島県といえば、日本三大秘境の1つである「祖谷」が特に知られています。山奥にあって訪れにくいのにもかかわらず、ここに一生在住したくなるほど静寂で、他では中々見られない幻想的な風景が広がります。在住する住民が少ない祖谷ですが、日本のありのままの姿を目にできます。梅雨の時期に訪れれば、山の上に雲が沢山集結する光景を見られ、まるで自分が死んで天国へ旅立ったかのような神々しい雰囲気が漂います。ここは歴史的な民家が残る地域でもあり、珍しくなった江戸時代(1603〜1868年)やその前の時代の物に身近に触れることができます。宿泊できる伝統的な民家があるので、ここで1泊すれば、現代的な風呂や温水洗浄便座を取り入れた快適な時間を過ごしながら昔の日本人の生活を経験できます。徳島県全体はそうですが、祖谷は言葉で表現しにくいほどの美しさがこの地域の至る所にあり、1回は訪れてほしい場所です。
日本全国に様々な伝統芸能や盆踊りなどがあり、全国的に知られている物が多いです。その1つは、徳島県発祥の「阿波おどり」です。日本三大盆踊りの1つとして特に人気があります。天正15年(1587年)に徳島城の落成を祝う目的や、天正6年(1578年)に勝瑞城で開催した風流おどりなど、始まりと言われている説が様々です。毎年の夏にこの阿波おどりが行われ、何十万人もの見物客が見に来るほどの盛大な行事です。迫力のある踊りで、全体的な盛り上がりに誰もが感激するでしょう。そして、現在では、阿波おどりが全国的に広まり、いくつかの都道府県で行われるようになりました。
伝統的な踊りだけでなく、「阿波藍(あわあい)」という世界的に有名な藍染料があります。徳島県は、藍染料で使用されている「すくも」という天然藍染料の生産地です。Japan Blue(ジャパンブルー)として知られているこの染料は、着物や浴衣などに使用されています。徳島県以外で紺色の日本の伝統的な衣服を購入した時には、徳島県で生産された成分が混入されている可能性があります。阿波藍は、日本を代表する色でもあり、日本全国で目にするほど多く使用されていて、日本人に愛されています。
伝統的な踊りや特産品以外に、徳島県はいくつかの美味しい食べ物を誇っています。特に、麺料理が多いです。その1つは、「祖谷そば」です。これは、上記で説明した「祖谷」という地域で食べられる名物で、十割蕎麦です。切れやすい太い麺が特徴です。優しい味で食べやすい1杯です。もう1つの麺料理は「徳島ラーメン」です。豚骨スープをベースに醤油や鶏がらスープなどが加えられ、福岡県の豚骨ラーメンでは中々味わえない旨味のあるしつこくないスープです。「でこまわし」というそば団子、岩豆腐、丸こんにゃくを串に刺した料理もあります。最後に味噌だれを付けて食べる癖になる1品です。徳島県の料理はどれもシンプルに見えますが、味がしっかりしていて、また食べたいと思わせる物ばかりです。
伝統的な日本の踊りや貴重な特産品など、徳島県は魅力に溢れている場所です。比較的観光客の少ない都道府県でもあるので、ここでゆったりとした旅ができます。場所によっては訪れやすいとは言い切れませんが、別世界だと感じる場所が多く、他では中々できない旅をここで楽しめます。機会があれば、是非徳島県を訪ねてみて下さい。
注意
いくつかの観光地は交通機関で訪れますが、田舎のバスの本数が限られていて、車なしでの観光は大変です。徳島県は車で周ることをおすすめします。