著者:リチャード・パーキンス
撮影日:2025年03月30日
住所:〒860-0801 熊本県熊本市
中央区安政町2−6
入場料:大人・高校生 200円|
小・中学生 100円|未就学児 無料
小泉八雲は、ギリシャ生まれのアイルランド育ちのイギリス人です。39歳という年齢で来日しました。明治時代(1868〜1912年)を生きたこの人物は、日本を転々と在住しながら自分の経験や日本に関する思いを書籍という形で記しました。現在の日本学者にも大きな影響を与えています。小泉八雲は、明治24年(1891年)11月〜明治27年(1894年)10月の3年間を熊本県で過ごしました。在住していた家が熊本県熊本市に残っていて、「小泉八雲熊本旧居」という名で一般公開されています。
この家は、江戸末期の下級武家屋敷です。この伝統的な家は、熊本市に何軒もありましたが、現在残っているのは小泉八雲が在住していた家のみです。全国的にこのような伝統的な家が消えつつあり、ここまで綺麗な状態で残っているのは珍しいので、身近に見られるのは貴重な経験です。
この家では、小泉八雲に関する細かな説明が所々に書かれているほか、実際に使用し、愛していた所有物がいくつか展示されています。その所有物の1つは、船の形をした虫籠です。虫の鳴き声を聞くのが好きで、毎年様々な虫を集めていました。現在では貴重品と言える、細かく作られた木製の物で、美術作品のような美しさです。もう1つの所有物は、愛用の机です。日本式の生活を好んでいたものの、近視だったため、書斎で仕事をしている時は洋風の机を使用していました。他の机より高く作られ、鼻が紙に擦り潰されるほど顔との距離が近かったそうです。これで様々な執筆を不自由なくできていたようです。
熊本県の家を借りるにあたり、小泉八雲が特注で神棚を設けたというのは有名な話です。展示されている所有物の中で目玉と言っても過言ではないのが、その特注の神棚です。順番に3枚のお神札(おふだ)が見える大きめの神棚で、その前に立つと、毎日礼拝をしていた小泉八雲の姿を簡単に想像できます。何らかの神様が本当に宿っていると感じるほど神秘的な雰囲気が漂う感動的な神棚です。
2016年に熊本県を中心とした大きな地震が起き、その影響で小泉八雲熊本旧居は被害を受けました。どの程度の被害なのか詳しい説明が書かれていて、被害の範囲を示す写真も展示されています。地震の恐ろしさがはっきりと伝わります。
上記の通り、武家屋敷などの伝統的な家が日本で減少していて、小泉八雲熊本旧居で小泉八雲のことを学べるだけでなく、日本の伝統的な建築も身近に見られるので、とても貴重な経験です。熊本県へ遊びに来る時は、是非小泉八雲に会い、小泉八雲熊本旧居を見学して下さい。
小泉八雲が日本に関して書いた何冊かの本の初版です。
愛用の机です。
使用していた虫籠です。
小泉八雲の遺言状です。
特注の神棚です。
熊本地震が起きた時の小泉八雲熊本旧居の被害の範囲が分かる説明と写真です。