福崎町|もち麦と妖怪の町

福崎町
— もち麦と妖怪の町 —


著者:リチャード・パーキンス
撮影日:2025年08月23日
住所:兵庫県福崎町



日本には「妖怪」と呼ばれる存在があります。古くから言い伝えの中で語り継がれてきたもので、人々が説明できない現象や不思議な出来事から誕生したと考えられてきました。「日本の怪獣」と説明されることもありますが、妖怪には様々な姿や特徴があるため、それだけでは妖怪を十分に説明することはできません。しかし、妖怪は単なる物語の中だけに存在するものではなく、日本各地でその姿を見ることができます。そんな妖怪に出会える町の1つが、兵庫県福崎町です。

兵庫県福崎町は、「もち麦と妖怪の町」と呼ばれているほど、町の至る所で妖怪を見ることができます。これは、妖怪を観光資源として活用し、町興しに繋げる取り組みによるものです。多くの人に福崎町を訪れてもらうため、町の各所に妖怪を配置し、妖怪をテーマにした観光地として整備してきました。福崎町が妖怪を活用した町興しを行うのには、理由があります。実は、福崎町は妖怪と縁(ゆかり)の深い町なのです。日本民俗学の発展に大きく貢献した柳田國男(やなぎた くにお)は、幼少期を福崎町で過ごしました。前述の通り、妖怪は古くから言い伝えの中で語り継がれてきました。柳田國男も日本の民間伝承などを研究し、妖怪についても取り上げています。こうした柳田國男の研究は、日本の民俗学の発展に大きな影響を与えました。

また、もち麦は兵庫県福崎町の名物です。その中でも、もち麦を使用した麺は福崎町のご当地グルメの1つで、福崎町は「もち麦の町」とも呼ばれています。

公共交通機関で福崎町を訪れる場合は、福崎駅で下車するのが便利です。駅を出てすぐの場所には、代表的な妖怪の1つである河童がいます。駅前には大きな筒状の水槽があり、9時から21時までの間、15分おきに河童が姿を現し、地元の人や観光客を出迎えてくれます。決して可愛い顔ではありませんが、普段は中々見ることのできない河童を目の前にすると、思わず何時間も眺めていたくなるほど、不思議で面白い存在です。

福崎駅から徒歩約21分の場所には、「福崎町辻川観光交流センター」があります。ここには、数多くの妖怪が集まっています。館内には数え切れないほどの妖怪のフィギュアが飾られていて、どれも本物の妖怪に見えるほど精巧に作られています。お土産を購入できるだけでなく、カフェも併設されているため、妖怪に囲まれながら休憩することもできます。また、建物の外にも、人間とほぼ同じ大きさの妖怪が何体か展示されています。妖怪が実際にどのような姿をしているのかを間近で見ながら、素敵な写真を何枚も撮ることができます。この観光交流センターは、妖怪好きの人に限らず、妖怪について詳しくない人でも楽しめる施設です。

そこからもう少し歩くと、「福崎町辻川観光交流センター」から徒歩約5分の場所に「辻川山公園」があります。ここは、福崎町最大の見所と言っても過言ではありません。公園内には小さな溜め池があり、そこから河童の河次郎(ガジロウ)が姿を現します。福崎駅前の河童と同様に、9時から21時まで15分おきに姿を現します。河童は、川に生息すると言われている妖怪です。河次郎が池から姿を現す様子は、本物の河童を思わせるほど現実的(リアル)です。河次郎は2014年2月に完成し、福崎町で最初に設置された妖怪の像です。河次郎の登場をきっかけに、福崎町は観光地として注目を集めるようになり、その後、町の各所に様々な妖怪が姿を現すようになりました。

河次郎以外にも、辻川山公園には天狗がいます。「妖怪小屋の逆さ天狗」と呼ばれる天狗で、公園の奥にある小屋から、9時5分から18時5分まで15分おきに姿を現します。針金に吊るされ、逆さになった状態で小屋から出てきます。天狗が姿を現すたび、本物の天狗が目の前を飛んでいるかのように見えるほど精巧に作られていて、思わず何度も見たくなる面白さがあります。

この他、福崎町の各所には、様々な妖怪の像が設置されています。河童が座って将棋を指すベンチ(福崎町辻川観光交流センターの前に設置されている像)をはじめ、町内には多くの「妖怪ベンチ」があります。妖怪ベンチは、妖怪がベンチに座っている個性的な意匠(デザイン)が特徴です。妖怪ベンチマップを使用して町を散策すれば、多くの妖怪ベンチを見つけることができます。福崎町はそれほど広い町ではありませんが、妖怪ベンチをはじめとする見所が数多くあり、ゆっくりと観光するのにぴったりの町です。また、前述の通り、妖怪について詳しく知らない人でも十分に楽しめる観光地です。兵庫県を訪れた時には、是非福崎町にも足を運び、町の中に潜む様々な妖怪を探してみてはどうでしょうか。




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福崎町辻川観光交流センターです。



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初めて設置された妖怪ベンチです。



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辻川山公園に最初に設置された河童です。色を塗り直した後、交流センターで展示しています。



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