著者:リチャード・パーキンス
撮影日:2022年09月17日
住所:〒753-0011 山口県山口市
宮野下2001−1
「香山常栄寺」は永禄6年(1563年)に大内政弘(室町時代の守護大名)の別邸として創建された臨済宗の寺です。大正15年(1926年)に火災に遭い、現在の本堂は昭和6年(1931年)に再建されました。香山常栄寺の門を潜ると、「無隠(むいん)」という枯山水の日本庭園が目の前に現れます。今井任桃(いまいにんとう)老師によって作庭されています。円形のこの庭園は、滝を表しています。
香山常栄寺に枯山水の日本庭園は他にもあり、本堂の前に「南溟庭(なんめいてい)」と呼ばれている庭園が作庭されています。重森三玲という昭和を代表する庭師による庭園で、海をイメージしています。南溟庭という名前ですが、「南溟」は陽の世界や光明の世界を意味する言葉です。対義語として「北溟」という言葉もあり、陰の世界や北の暗い海を意味しています。線がとても綺麗に引かれていて、石の配置など、眺めながらその構造を自然と考えさせられるほどの物です。
香山常栄寺の枯山水は素晴らしいですが、この寺の醍醐味は、本堂の後ろにある池泉回遊式(真ん中にある池を歩道が囲む様式)の日本庭園です。これは「雪舟庭」と呼ばれている庭園で、雪舟という(中国で水墨画を学び、日本独自の水墨画を確立した)僧侶によって作庭されました。香山常栄寺と雪舟庭は合わせて約900坪で、火災が発生した大正15年(1926年)に国の史跡・名勝に指定されました。この庭園の特徴は、石の配置です。山の中腹から駆け下りる配置で、上記で説明した無隠の枯山水と同様に滝を表しています。雪舟庭は、三方(東・西・北)で森を囲み、水墨画家ならではの庭園を様々な角度から池や石を眺めることができます。
いくつかの庭園を誇る香山常栄寺ですが、特に雪舟庭は山口県を代表する名園です。春に桜が見事に咲き、夏に新緑が楽しめます。秋の紅葉がとても綺麗で、冬に雪が降ると、神秘的な空間が味わえます。秋にはライトアップも行われるので、星空と一緒に雪舟庭を眺められ、異なった雰囲気でこの庭園を楽しめます。香山常栄寺・雪舟庭は春夏秋冬訪れたい名勝です。
これが水墨画家である雪舟の銅像です。
これが「南溟庭」の枯山水です。
これが「雪舟庭」の名園です。