著者:リチャード・パーキンス
撮影日:2020年10月07日・2024年07月07日
住所:〒747-0029 山口県防府市松崎町14−1
日本全国に「天満宮」という神社があります。天満宮は学問の神様である「菅原道真」を祀っていて、「天神様」とも呼ばれています。菅原道真は平安時代(794〜1185年)の学者や政治家で、数々の和歌を残した人物として知られています。日本には約12,000社の天満宮が建立されていて、受験を控えている学生がよくお参りに行きます。その1社は山口県防府市に位置する「防府天満宮」です。
天満宮の中で防府天満宮は特に歴史が深いです。菅原道真が亡くなった翌年の延喜4年(904年)に創建され、「日本で最初に創建された天神様」と言われています。元々「松崎天満宮」・「宮市天満宮」と呼ばれ、明治6年(1873年)に「松崎神社」と改称されました。最終的に昭和28年(1953年)に再び改称され、現在の名前になりました。防府天満宮は、「日本三大天満宮」と言われている神社の1社です。その他に、京都府の北野天満宮、福岡県の太宰府天満宮があり、天満宮の中で特に知名度が高いです。
菅原道真は九州に向かっている途中、勝間の浦(山口県防府市)という所に船を停めました。周防国司であった土師信貞(はじのぶさだ)が菅原道真を歓迎し、その歓迎と風光明媚のその地が菅原道真の心を和ませました。菅原道真が亡くなってから勝間の浦に神光が出現し、酒垂山(さかたりやま)に瑞雲が棚引きました。これは、菅原道真が戻ったことを意味する現象と言われています。土師信貞がこの神光を目撃し、山口県防府市で天満宮の建立が決定されました。
防府天満宮の本殿の横に「芳松庵(ほうしょうあん)」という茶室が建てられています。中の見学ができ、そこで抹茶を飲むこともできます。芳松庵の周りに回遊式(真ん中にある池を歩道が囲む様式)の日本庭園があります。心が安らぐ静寂な環境で、何時間も散策したくなるほど綺麗に整備されています。庭の一角に「暁天楼」という建物があり、これは「藤村屋」という昔の旅籠(はたご)の一部です。老朽化によって解体された宿ですが、昭和59年(1984年)にここで復元されました。
防府天満宮は、神社の中でも歴史が詰まった場所です。その歴史を知らなくても、ここの境内に1歩踏み入れるだけでこの神社の壮大さに圧倒され、大事な物だと気が付くでしょう。山口県の神社では、防府天満宮は広大な方です。この神社は、見物や抹茶の体験など、いくつかの楽しみがあり、ゆっくりと周るのにおすすめです。
防府天満宮にこのような臥牛像(がぎゅうぞう)が所々にあります。牛は天神様のお使いなので、天満宮によく見かけます。病気の御利益のある動物で、自分の具合の悪い所を撫でてから臥牛像の同じカ所をを撫でれば、その悪い所が牛に移って病気が治ると言われています。
防府天満宮の本殿に続く階段の横に「酒垂神社」があります。水波能売命(みづはのひめ)という水の神様を祀っているこの小さな神社は、名前の通り、垂れた酒が発見されたことで創建されました。鎌倉時代(1185〜1333年)の初期に近くの山で巨岩が見つかり、その巨岩から清水が湧き出ました。防府天満宮の再建に携わった職人の喉を潤していたこの清水が、いつの間にか美酒に変化していきました。後に巨岩があった山を「酒垂山」と呼ぶようになり、巨岩自体は「酒垂岩」と名付けられました。その岩を祀るために祠が建立され、酒垂神社ができました。
1/2