著者:リチャード・パーキンス
撮影日:2021年04月23日
住所:〒211-0004 神奈川県川崎市中原区
新丸子東2丁目980番
稲荷神社が日本全国にあり、総本宮は京都府京都市にある「伏見稲荷大社」です。稲荷神社の祭神は「稲荷神」という稲作と農業に関わる神様です。江戸時代(1603〜1868年)までは多くの日本人が農業に力を入れ、生活に直接関係していたので、稲荷神への支持が高まりました。そのため、稲荷神社が日本で最も拡散された神社です。
稲荷神を祭神とする別宮の1社は戦後(1951年)にできた神奈川県川崎市にある「京浜伏見稲荷神社」です。新丸子駅から徒歩3分の場所に位置するこの稲荷神社は、総本宮の伏見稲荷大社に勧請され、街の復興を祈る目的で創建されました。常盤稲荷大神(ときわいなりおおかみ)を主祭神として祀っている神社で、他の稲荷神社で見かける狐の像が安置されています。ここにいる狐の像は、108体も安置されています。稲荷神社の中で京浜伏見稲荷神社は日本一狐の数が多いです。狐は神使(神様のお使い)で神様に参拝者の願いを伝えるようです。願いが叶うのに時間がかからず、すぐに神様に伝わって叶えてもらえるという意味を込め、ここで神使(狐)を大量に祀っているそうです。
京浜伏見稲荷神社の境内にある狐の像は、他の神社に安置されている狐の像と形が異なります。1体1体の狐が手作りで丁寧に作成されたかのように見え、少し隠れていて見えにくい物もいます。決して広い境内ではないものの、中々見つからない狐がいるので、108体が本当にいるかどうか探すのが楽しいです。
小さいですが、本殿の手前に池らしい水溜りのような物が設置されています。これは「招福池」と呼ばれていて、滋賀県の琵琶湖に浮かぶ竹生島の弁財天を祀る目的で置かれています。そのため、琵琶湖を模して作成された池です。
京浜伏見稲荷神社の境内に、富士山の模型も展示されています。江戸時代に霊峰富士山からの溶岩を依頼し、神社の土台に利用するのは縁起がいいと言われていました。昔から日本では、富士山は神聖な山として扱われていて、縄文時代(何千年前)でも富士山を信仰していたようです。富士山を遥拝した形跡が見つかり、それは縄文時代からの物だそうです。そう考えると、富士山が小さな神社の境内でも祀られているのは決して驚く光景ではありません。京浜伏見稲荷神社の本殿は同様に縁起が良くなるように、富士山の模型は溶岩を基盤にしています。
初代宮司の冨澤冠受大人之命(とみざわかんじゅうしのみこと)です。